司法書士の日記

司法書士業務に関する備忘録です

自筆証書遺言と財産目録

自筆証書遺言は、原則として全文を手書きで書かなければなりません。

 

ただし、平成31年1月13日に施行された改正民法によって自筆証書遺言の方式が緩和されました。

 

財産目録については手書きで書く必要はなくなりました。

 

ワープロなどで印字された財産目録に、遺言者自身が署名し、押印すれば自筆証書遺言としての方式を満たしているということになります。

 

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財産分与に関する判例

離婚による財産分与について最高裁判所判例からいくつか紹介しています。

 

妻が,夫に対し,夫との間に法律上の親子関係はあるが,妻が婚姻中に夫以外の男性との間にもうけた子につき,離婚後の監護費用の分担を求めることは,次の(1)〜(3)など判示の事情の下においては,権利の濫用に当たる。
(1) 妻が,出産後程なく当該子と夫との間に自然的血縁関係がないことを知ったのに,そのことを夫に告げなかったため,夫は,当該子との親子関係を否定する法的手段を失った。
(2) 夫は,婚姻中,相当に高額な生活費を妻に交付するなどして,当該子の養育・監護のための費用を十分に分担してきた。
(3) 離婚後の当該子の監護費用を専ら妻において分担することができないような事情はうかがわれない。

詳細はこちらから。

裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面

 

 

内縁の夫婦の一方の死亡により内縁関係が解消した場合に、民法七六八条の規定を類推適用することはできない。

詳細はこちらから。

 

離婚訴訟において、財産分与を命じた判決に対して控訴の申立てがされた場合、財産分与に関する裁判については、いわゆる不利益変更禁止の原則の適用はない。

詳細はこちら

 

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遺贈による所有権移転登記の登録免許税

不動産の所有権移転登記の際には、登録免許税を納付する必要があります。

 

登録免許税の額は、「登録免許税法」によって定められています。

 

登録免許税の原則

遺贈による所有権移転登記の登録免許税の税率は、原則として 不動産評価額の1000分の20です。

 

相続人への遺贈の場合

受遺者が相続人である場合の登録免許税の税率は、評価額の1000分の4となります(登録免許税法 別表1-(二)イ)。

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新株発行(募集株式)を有利な金額で発行する場合

株式会社が、第三者割当によって新株を発行する際、

特に有利な金額である場合は、

株主総会において、取締役はその理由を説明しなければなりません(会社法199条3項)。

 

判例は・・・

この「特に有利な金額」に当たるかどうかについて、判例は、

 非上場会社が株主以外の者に新株を発行するに際し,客観的資料に基づく一応合理的な算定方法によって発行価額が決定されていたといえる場合には,その発行価額は,特別の事情のない限り,商法(平成17年法律第87号による改正前のもの)280条ノ2第2項にいう「特ニ有利ナル発行価額」に当たらない。

民集 第69巻1号51頁)

 

としています。

 

www.courts.go.jp

 

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相続放棄に関する判例

相続放棄について参考となる最高裁判例をいくつか記載しています。

 

相続放棄利益相反行為

共同相続人の一人が他の共同相続人の全部又は一部の者の後見をしている場合において、後見人が被後見人全員を代理してする相続の放棄は、後見人みずからが相続の放棄をしたのちにされたか、又はこれと同時にされたときは、民法八六〇条によつて準用される同法八二六条にいう利益相反行為にあたらない。(昭和53年2月24日)

 

相続人が複数いる場合

相続人が数人いる場合には、民法九一五条一項に定める三か月の期間は、相続人がそれぞれ自己のために相続の開始があつたことを知つた時から各別に進行するものと解するのが相当である。(昭和51年7月1日)

 

 

相続放棄の申述に無効原因がある場合

相続放棄の申述が家庭裁判所に受理された場合においても、相続の放棄に法律上無効原因が存するときは、後日訴訟においてこれを主張することを妨げない。(昭和29年12月24日)

 

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保安林の地目変更登記

保安林とは森林法に基づいて農林資産大臣が保安林として指定した土地をいいます。

 

保安林制度:林野庁

 

保安林は、立木を伐採したり土地の形質を変更するには原則として都道府県知事の許可を受けなければなりません(森林法34条)。

 

地目が「保安林」と登記されている土地を他の地目に変更する登記については、

保安林の指定が解除されなければ、他の地目に変更する登記はできません(昭51.12.25民三6529)。

 

なお、所有権移転登記については、特に森林法による規制はありません。

保佐人の権限について

保佐開始によって保佐人に認められる権限は下記の通りです。

 

1.同意権

被保佐人民法第13条1項に定められて法律行為を行うことについて同意する権限があります。

 

2.取消権

被保佐人が前記民法13条1項に定められた行為を保佐人の同意を得ないでしたときは取り消すことができます。

 

3.同意権の範囲を拡張する審判

家庭裁判所の審判によって民法13条1項に規定された行為以外にも同意権を与えることができます。

 

3.代理権付与の審判

特定の法律行為についての代理権付与の審判があればその法律行為についてのみ代理権を有します。代理権付与の審判がなければ保佐人には当然には代理権はありません。

 

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